クリーニング・ギフト券は換金できるのか?

クリーニングギフト券は

換金できるか?

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 全協会員から「クリーニングギフト券を換金しようとしたら断られた」 という話を聞いた。久しく話題にならなかったが、当業界には全ク連発行のクリーニングギフト券というものがある。いったいこのギフト券は金券ショップで換 金できるのだろうか?今回はその点を追いかけてみた。

 

クリーニングギフト券とは?

 まず、改めてクリーニングギフト券について述べてみたい。このギフト券は、全ク連が発行するクリーニング券であり、組合員の店で使用できる。組合の販促目的で作られ、ホームページによれば「クリーニングギフト券は全国約30,000店の組合加盟店でご利用いただける便利な全国共通のギフト券です」とある。しかし、いうまでもなく組合員は零細企業が多く、開店休業状態の店舗が目立つ。「全国30000店」というと聞こえは良いが、日本に13万軒の店舗があることを考えれば、せいぜい4軒に1軒、しかも、ほとんど流行っていない店でしか使用できない。結論から言えば、全く消費者の役に立たない、無用の長物である。

 当然、こんなものは消費者に流通するはずもなく、現在は全ク連から全国の組合員に一人三千円とかノルマのように配られ、零細業者の負担になっていることも事実。しかも全ク連へはほぼ全額が上納され、各都道府県の組合には残らない。実態は全ク連の資金源の一つ。そのように考えれば、「いくらかでも換金を……」と考えるのはむしろ自然な発想だ。この様な企画は、ある意味零細業者への手助けになるかも知れない。

 

調査結果

 「クリーニングギフト券」は金券ショップでお金に換えられるのか?編集部ではネットで検索した金券ショップへメールで質問した。内容は、「教えて欲しいことがあり、ご連絡致しました。クリーニングギフト券というものがありますが、あれは換金できるでしょうか?一応、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が発行している ものです。クリーニング業界では、唯一オフィシャルなクリーニング券であると聞いています。できるかできないかだけで結構ですので、よろしくお願いします」である。

回答を得た30店の結果は、以下のようなものだった。

換金できる―――――――11店

換金できない――――――――19店

すぐには返事できない―――――1店

 ということだった。およそ37%の金券ショップにおいて換金できるのだが、その条件は、「まだ有効期間が残っているもの(当然だが)」であり、レートは「30%から80%」とまちまちだった。

 調査は30軒にメールし、2,3日で返事のこなかった所には電話して結果を聞いたが、印象としては、このギフト券の実態を知っている業者は換金を断り、そうでないところは受けるといった感じだ。

 

世間に知られていないクリーニングギフト券

 この結果を見る限り、私は予想以上にこのギフト券を換金するショップが多いと感じた。私たちはクリーニング業者なので、この券の実態を知っているが、金券ショップにもその実態は十分に伝わっていない。換金できると答えたショップは、「全国30000店の組合加盟店で……」の言葉に乗せられてしまったのだろうか?

 結局、クリーニングギフト券は消費者にも知られていないが、金券を扱うプロの金券ショップにも、情報は十分に伝わっていなかったということだろうか?全国の業者に連絡してみたが、都心のショップでは換金を断られ、地方に行くと換金できると答えたショップが多かったようだ。都心には組合業者が多いので意外だった。

 改めてこのギフト券について述べると、このギフト券が消費者に伝わっ ているとは考えにくいし、地方では組合員に分担され、結局は組合業者の負担になり、形を変えた全ク連への上納金となっている。言ってみれば暴力団のパーティー券に近い。エコポイントでこれを入手した人はいたのだろうか?以前も書いたが、これは即刻廃止するべきである。

 

あやふやなクリーニング業界に問題が・・・

 しかし、全国の組合員は、このギフト券がほとんど使用されていない実態を知りつつも、甘んじてそれを受けている。本来であれば、組合全体のため、自らのため、改革に乗り出すべきだろうが、大半の業者は、「上で決めたことだから」とおとなしく従っている。組合員はほとんどが高齢者、今更争っても、という気持ちが強いのだろう。

 だが、もっとおかしいのは組合員以外、組合に入っていない業者でも、このギフト券を顧客が持ち込むと、顧客に「使えません」とを返さないことである。

 ギフト券には日本中どこでも使用できます、というような口上があるか ら、これを手にした顧客は街の流行っているクリーニング店にこれを持ち込む。大手クリーニング店はたいてい経営者が店頭に立つことはないので、店員はそれを受けてしまう。もし組合員でないなら、日頃から店員教育の中に、「当社は組合に属していないので、ギフト券は受け付けないで下さい」という文言を盛り込んでおけばいいと思うのだが、それもやらない。あまりにもレア・ケースなので多少は仕方がないと思っているのかも知れないが、大手業者の中にも、組合員でないと業者としてまずい、という様な考えが少しばかり残っているのではないだろうか?それもまた、当業界の「あやふやさ」を表している様にも感じられる。