全ク連発行の冊子に関して

税金でクリーニングの不正隠し

全ク連は変な冊子の製作をやめろ!

 image009

 2013年 2月、福島県のクリーニング組合職員が弊社を巡回したとき、A5版ほどの薄い冊子を置いていった。製作は全ク連(全国クリーニング生活衛生同業組合)、表紙には「平成24年度生活衛生関係営業振興対策事業費助成金事業」と書かれてあり。助成金を利用して作成した冊子であることがわかる。翌週に東京で業界の協議会の席上でも参加者全員に二冊ずつ配られた。どうやら、業界全体にこの冊子を配っているらしい。

 タイトルは「クリーニング業に求められる安全・安心対策ガイド」。クリーニング業者が守るべき法律などが書かれており、クリーニング業界における社会的責任について説明されている。

  最初に目次のようなページがあり、そこでは「求められる4つの配慮として」、1お客様に対する配慮、2従業員に対する配慮、3近隣住民に対する配慮、4地球環境に対する配慮と4つの項目が書かれている。各クリーニング業者に法令遵守を促し、法律に従って正しいビジネスをするように啓蒙するための冊子といえるだろう。

 2009年、クリーニング業界では建築基準法問題が起こった。7月に業界売上3位業者が不正な工場を次々と建てていたことにより摘発され、同年12月には業界2位の業者まで全く同じ理由で摘発されている。そして、この建築基準法は半分以上の業者に及び、翌年には全体の50.2% の業者の違反が発覚した。クリーニング業界はまさに違反のるつぼであり、無法地帯といっていい。そういう業界に対し、注意喚起を促すために作成したというのなら、それもうなずける。不正に関しては、法定認可団体である全ク連が数十年に渡って違反の横行を見逃してきた(見て見ぬふりをしていた?)わけだが、その全ク連が自らの反省の意味を込めてこれを製作したのかも知れない。

 しかし、その中身はとんでもないものだった!

 目次に当たる「求められる4つの配慮として」の中の一つ、「近隣住民に対する配慮」の項目には、ちゃんと建築基準法がある。また、「地球環境に対する配慮」のところには、「地球温暖化防止対策」がある。これらのことに関し、ちゃんと説明が成されているのだと思った。なにしろ業界の半分以上が違反なのだからそれは当然だろう。

 ところが、「近隣住民に対する配慮」のところには、建築基準法など何も書かれていない。目次にはあった「建築基準法」の文字すら一言も書かれていない。騒音規制法、振動規制法、悪臭防止法、子ども110番の家、というだけで、全く登場しないのだ!目次はウソか!

 さらには、「地球環境に対する配慮」のところにも、環境団体が問題視しているソルカンドライ、つまりHFC365mfcについても全く触れられていない。クリーニング業者がドライ溶剤として使用する温室効果ガスは、地球環境に対する最大の問題ではないか?全く無視するのは異常である。

 現在のクリーニング業者に最も注意すべきことは、建築基準法ソルカンドライである。違法状態で現在も操業するクリーニング所は多く、最大の注意点であるはずだ。また、その代替として登場したソルカンドライはれっきとした温室効果ガス。これも要注意。要するに、税金を利用して作られたこの冊子は、クリーニング業者が一番注意しなければならない二つが完全に無視されているのである。

  こんなものが作られた理由は、違反状態が延々と続き、全ク連にとっても解決のしようがない建築基準法問題について、他の問題をいろいろ提起することにより、問題視されなくするように、要するに「薄めて」しまうことが目的なのではないだろうか?近年増加の一途をたどる温室効果ガス、ソルカンドライにしても、厚生労働省が時代に逆行する税制優遇措置まで行っている。それをそらすためにこんな姑息な手段を使っているのではないだろうか?税金が投じられていることを考えれば悪質ともいえる。

 ここで述べられている「クリーニング営業者の責務」とは、クリーニング業法や労働法、安全対策など、事業者に課せられる問題を広く扱っており、その点では特に個人事業主などには有意義なのかも知れない。しかし、建築基準法問題温室効果ガス問題は 業界団体である全ク連に関わる課題。この話題を掘り下げていけば、責任は全ク連幹部に行き当たる。だから冊子では無視しているのだ。この冊子は広くクリー ニング業者達に配布されているが、「おまえら、ちゃんと法律とモラルを守れよ!」といいながら、自分たちはうまく逃げ回っているといえる。

  クリーニング業界では、こんな矛盾がいつまで続くのだろうか?厚生労働省がいつまでもほとんど市場シェアもなく、不真面目な全ク連だけを相手にしている限り、我々クリーニング業者ばかりか、税金を払っている国民にまで迷惑がかかるばかりだ。この業界は抜本的な改革をしない限り、どうにもならない。

 

 image010

※目次にはちゃんと建築基準法、地球温暖化防止対策と書いてあるのに…

 image011

 ※本文にはひとことも書いてない…