私はエビとカニが食べられない。アレルギーである。
アレルギーとはどんな症状を引き起こすかというと、皮膚が硬直し、全身がかゆくなる。 かゆくなるだけならいいが、食道まで硬直するので、呼吸が苦しくなる。アレルギーで亡くなったという方は、このような理由で呼吸困難になった場合が多い。 私は極度のものではないのでそんなに心配はないが、それでも食事には気を付けている。
平成3年、サンフランシスコのフィッシャーマンズ・ワーフでカニを食べたときにそれは突然やってきた。ツアー中に苦しくなってきたのである。この時はホテルに帰ってたくさん水を飲んで解決した。
平成4年、上海に行き、そこで有名な上海ガニが出てきた。有名なものなのでこの際食べてしまったが、何ともなかった。どうも淡水のカニは大丈夫らしい。それと、体調にもよることがわかった。酒を飲んでいるときには要注意である。
カニだけの時代はまだ良かった。日常生活にそんなにカニは出てこないからである。この間、社員旅行で北海道へ行ったことがあり、そういうときだけはみんなうまそうに食っているのを眺めているしかないので参るが、せいぜいそのくらいだった。
ところが、平成9年にエビを食ったらやはり同じ症状になってしまった。
これは困る。食生活にエビはやたらと出てくるからである。かにとエビでは食事に登場する頻度はかなりの差がある。エビが入っているものは食えないということになる。
結婚式に出席すると、出るものがやたらとエビである。めでたい食べ物という事なのだが、私には非常に困るのだ。
今までで一番ひどい目に遭ったのは、エビがまずくなる前、平成7年のことである。秋田県の同業者が洗い方のノウハウのことでやってきて宿泊した時に、やはり酒どころ、杜氏が全国に派遣されるほどの土地柄なので、その方も、ものすごく飲む人だった。
あんまり飲んで二日酔いした翌朝、食事に連れて行ったのだが、そこで食べた海の幸ピラフというのにカニが入っていたのである。
郡山駅に送っていった後、頭が猛烈にかゆくなってきて、やがてそれが全身に広がって いった。この時、頭の皮膚まで硬直するので、髪の毛が逆立ち、顔がゴツゴツになって表情も変わり、舌の先がピンポン球の様に膨れあがってまともに声を出す ことも出来なかった。まるで、自分が変身して怪物になるのかと思った。救急車の一歩手前だった。
こういうわけで、通風もあるからビールは飲めない、二日酔いするので日本酒もダメ、エビ、カニも食えないので食事に制限があるなど、いろいろなハンディを背負ってしまった。つきあいが悪い人と思われるのは大変シャクである。