怪しい利用約款
クリーニング業者の珍・クレーム回避策?
横浜市のクリーニング業者で、訪れた顧客一人一人に「利用約款」と書かれた用紙を渡している所があると聞いた。当方では早速その「利用約款」を入手し、内容を確認した。
その約款は27項目に及び、クリーニング受付に関する注意書きのようなことが述べられていた。しかし、その内容は、
- 当店は特別なしみ抜きをしておりません。
- お客様の主観的な表現での(風合い、型くずれ等)の申し立ては一切責任負えません。
- ポリウレタン製品の剥離等が発生した場合は一切責任を負えません。
- ポケットの中身に関しましては一切責任を負いかねます。
- おもに海外製品について、その他のお品物に関しても品質表示に基づいた洗浄で衣類に問題が生じた場合保証できません。
など、クリーニング店の都合ばかりがとうとうと述べられていた。中には、法に照らして果たして正論なのか疑わしい部分もあった。
悪質なクレーマーから会社を守るために約款を作成している会社は多いが、これはもはや行き過ぎである。特別なしみ抜きはしない、一切責任は負えないという言葉の羅列には、いったいどこからクリーニングの仕事なのかという疑問も感じられる。この店はワイシャツ90円、ドライ190円などかなりの低価格を売りものにしている会社ということだが、安いから、一切責任を負えないという理屈は成り立たない。低価格で面倒な仕事を一切省くというのは一つの戦略かも知れないが、これをクリーニング店といえるかどうかは意見の分かれるところである。
また、別な地域では、「ノークレームタック」なるタックが登場したということで情報を集めたところ、現物ではないが、そのタックが写された写真を受け取った。
これには、「ノークレーム了解済」と書かれた後ろに、外国製品、シルク、合皮、一部皮、表示無し、オール×など、トラブルが起きやすい製品やその特徴などが記載されていた。
これはどのように利用するのだろうか?「お客さん、この製品は一切クレーム付けないで下さいね」などと店員が言って顧客に了承を取るのかも知れない。こういうものを製品に付けられてきたら、顧客はどのように感じるのだろうか?
こういう異常な約款やタックが登場するのはなぜだろうか?二つの問題に共通するのは、顧客のクレームへの異常なまでの警戒である。ここまでして警戒するというのは、こう言うものを使用している業者達にはかなりの苦情があるのかも知れない。これとは別に、都内で「有名ブランド品は一切受け付けません」とカウンターに書かれた店があると聞いたが、それも、クレームを未然に防ごうという防衛策のうちに入るかも知れない。
ただ、クレームが多いから理不尽な約款やタックを使用するというのは明らかに行き過ぎである。少なくともクリーニングを名乗っているのだから、最低限度のルールはあるはずで、あまり業者寄りの行為を行えば、消費者契約法などに抵触する恐れもある。
消費者庁が誕生し、消費者保護の気運が高まる中で、クリーニング店だけがこういうことをしているようであり、大変嘆かわしい。
(約款とか知らないです・・・)