これぞ経営者の鑑!
須賀川経営者協会・クリスマス・パーティー
須賀川経営者協会とは
12月21日、市内で須賀川経営者協会のクリスマス・パーティーが行われた。
須賀川経営者協会は、名前の通り須賀川市に在住する会社の経営者の会である。父親の代に入会し、私もそれを引き継いだ。以前は海外研修会なども行われ、中国、アメリカなど何度か連れて行ってもらったことがある。
須賀川市は以前、他の地域から製造工場がやってきて、地元に定着した会社が多い地域である。その様な状況から、会員は製造工場の方が最も多く、話題も製造工場に関するものが多いが、当方はサービス業とはいえ、製造業の方々の話は大変興味深いものが多く、以前より勉強させていただいていた。
特に、製造業はかなり以前より労務管理が非常にしっかりしていて、参考になることが多い。サービス業は製造業と比較すると法整備が遅れており、労働者への対応もまちまちで、今後の課題が山積みである。「ブラック企業」と呼ばれる会社にサービス業に多いのもそれが原因だが、ともかく、製造業から学ぶことは多い。
あまり縁がなかったクリスマス会
しかし、この経営者協会行事の中で、クリスマス会だけは出席経験がなかった。出たくなかったのではなく、毎年何かの用事と重なって出られなかったのである。
ただ、それなりの年齢である経営者の方々が、クリスマス・パーティーって何をやるんだろうか?家族の方々を連れてくる人もほとんどおらず、家族会というのでもない。どちらかといえば子供が喜びそうなクリスマス・パーティーを、大の大人が揃っていったい何をするのだろうか?それでも、今年(2016年)は他に用事もなく、出席することになった。事前の打ち合わせでは、ベンチャーズなどを演奏するバンドも演奏するという。
障害者の招待
出席してみると、経営者達はテーブルを分散させられ、他には須賀川市近郊の障害者施設にいる障害者や職員の方々が座った。5施設からかなりの人数が来ていて、経営者よりもずっと多い。
これでわかった。このクリスマス・パーティーは、地域社会の障害者達を招待し、励ますための会だったのだ。大変意義深い、地域社会に根ざした活動であることを知り、さすがは経営者の会だと感心した。
午後4時半に始まった会は、会長が最初に挨拶しただけで、後はすぐに乾杯になり、食事が運ばれてきた。この辺は、障害者に配慮した進行なのだろう。
この後で、障害者施設に勤務経験のある妻に聞いたところ、それは大変すばらしいことだという。障害者の人たちは、こういったパーティーに呼ばれる機会はそんなにない。実際、みんな一ヶ月も二ヶ月も前から楽しみにしていたのだという。
この後、各施設が団体ごとに前に出て、施設の紹介を行い、カラオケで一曲ずつ歌った。その後で須賀川経営者協会の会長である笠原氏が施設のテーブルを廻り、クリスマス・プレゼントを配った。会長自ら動かれ、素晴らしいボランティア精神である。
経営者と踊る障害者
この後が圧巻だった。ステージにバンドが登場し、主にベンチャーズの曲を演奏し始めた。ギターはモズライトやフェンダー・ジャズマスターで本格的である。
すると、ステージの前に各経営者が障害者達を呼び出し、一緒に踊り出したのである!曲がベンチャーズなので踊りもゴーゴーとかだが、バラードではちゃんとチークダンスになっていた。障害者の人たちも本当に嬉しそうだった。
正直、各経営陣もそれなりの年齢の方々である。しかし、ここは障害者のためとばかり、踊りまくっていた。体を動かす機会が少ない障害者の方々は、こういうことがストレス発散になるのだろう。ずっと前から楽しみにしているという気持ちが伝わってきた。
経営者の皆さんも本当に大変だったのだろう。のべ12,3曲はやっただろうか。みんな疲労困憊となり、会は終了した。
経営者の鑑
口幅ったいが、私が社長になった時、私は会社が地域社会に支えられていることを考え、地域社会のボランティアを重視することを心がけた。恵まれない施設へのボランティア・クリーニングを毎年定期的に行っているし、優秀なクラシック・ミュージシャンを呼んでのコンサートも行う。それはとりもなおさず、本拠地である須賀川の風土がそうさせるのだ。そういう自分の方針は決して自分だけのものではないことを、このコンサートで改めて思い起こさせられた。
会長である笠原氏など、それなりの年齢であるにもかかわらず、必死になって障害者をもり立てている。日頃から尊敬申し上げていたが、それ以上に素晴らしい方だった。これこそが経営者の鑑である。
現在、NPO活動などを通じ、クリーニング業界の労働問題で苦労しているが、自分の方針が正しかったことを認識するとともに、自分にも味方がいるのだということ(タイガーマスクに、グレートゼブラが応援に来てくれたような気持ちだった)を強く感じた、感動的な夜だった。