ジャパノロジー・プラス
2月中旬、NHKより連絡があり、海外向け番組「ジャパノロジー・プラス」でクリーニングを取り上げるため、弊社を取材したいという。同番組はホストのピーター・バラカン氏が日本の特徴的な事象を世界に紹介するもので、過去には富士山、居酒屋、おにぎり、丼物、おせち料理、水族館などが取り上げられている。クリーニング業は日本で独自に大きく発達した産業であり、扱うことになったという。海外向け番組なので英語放送であり、3月8日にスタッフが弊社を訪れ、取材が行われた。
番組ではクリーニングの受付風景、工場作業、受付レジの細かい機能などが詳しく紹介され、ピーター・バラカン氏は作業員の指導を受け、しみ抜き作業まで行った。登場する人々の言葉はすべて英語に吹き替えられ、後半では私が日本にはなぜクリーニング店が多いのか、どのように発展したのか、横浜から日本に伝来してからのクリーニング百年史について延々と「英語」で話しまくる展開だった。途中に他社のしみ抜き名人の方と先進コインランドリー店の映像が挿入された。
番組では、日本人は元来きれい好きであることと、四季がはっきりしていて国民の衣料品の所有数が多いこと、水が軟水で洗濯に適していること、そして何より、生産技術の発展した1960年代が一億総中流といわれた「平等社会」だったことが番組内の表現では「パーフェクトタイミング」であり、国民の多くがクリーニング店を利用するようになり、他国にない産業として発展したと説明している。
放送された番組は、当方にとって「素晴らしい」の一言。日本クリーニング界が世界最先端であるのを紹介している上、横浜から伝わったドライクリーニング技術が職人の仕事として徐々に伝わり、1960年代に機械化、効率化が進んで消費者に広く伝わった有様が映像化されるが、私が提供した弊社の古い写真にNHKの豊富な映像資源が見事に絡み、私の父親と祖父まで業界史の中で紹介されている。何か日本のクリーニング技術を伝える番組というより、弊社の歴史を日本のクリーニング発展史とシンクロさせ、まるで弊社のために制作されたPR映像のようだった。最後には東日本大震災時のボランティアクリーニングなど弊社独自の活動まで紹介された。
ともあれ、日本のクリーニングの成り立ちが世界に紹介されたのは今回が初めてだろう。確かに、複雑な機能を兼ね備えた受付レジ、リーズナブルな価格で素早いサービス、クリーニング店の軒数、高度な技術を要するしみ抜きなどは、誇るべき日本の文化といえるのかも知れない。これはクリーニング業界にとって明るい話題といえるのではないか。まだNHKのオンデマンドサイトでいつでも見られるので、英語の番組とはいえ、ぜひご覧になっていただきたい。
素晴らしい番組を作っていただいたNHKの皆様には心から感謝申し上げたい。
NHKオンデマンドのサイトはこちら
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/japanologyplus/20200407/2032208/